『剣姫』セラ

正名を、セリアーナ・ウル・ディア・ラ・メルクリア。
少々変則的にセラと略す。

聖王国六王家が一角たる剣王家、その次期当主候補筆頭にして剣騎士の第三位に序せられる稀代の遣い手。なのだが。本人に当主の地位を継ごうとする意思は今のところ無い。

生涯現役を豪語する、現当主である祖父は、齢七十を間近にしてなお衰えるところを知らず。この調子なら百辺りまでは健在だろうな、と考えているらしい。その頃には兄だか妹(ちなみに現在未婚、子供無し)だかの子が成人している筈だからその子にでも任せよう、などと。

軽い方向に思考を持って行こうとはするものの、実際には、自信が無いだけの話だったりするのだが。自身を過小に評価し、他者を過分に恐れる傾向は幼い頃からの悪癖である。

派手さは無いが、流麗の極地とも云える剣舞はただ単純に打ち込んだ結果。好きだったわけでも、何かしらの執着があったわけでもなく。初めに与えられたのが剣であったと云うだけの理由で積み上げ、磨き上げたもの。その才能を恐れるべきか、その一途さを哀しむべきか。

一時期は魔術を習ってもいたが身に付かず。しかし気の合う友人とも出会えたし、無駄でもなかったかと思っている。なお、ここ最近髪を伸ばしているのはその友人の影響だとか。

異国に曰く、とその彼女は云う。髪は女の命である、と。