『来訪者』星鈴

レイクルム歴489年11月、辺境の小国「大和」のそのまたド田舎で彼は発見された。大和の住民の黒髪黒眼とは似ても似つかない銀髪紅眼を持つ彼は、発見されるのが必然であった。

相当くたびれた異国風の衣服は、見る者に遙かな旅を思わせる。おまけに傷だらけでフラフラ、剣を支えにかろうじて立っている様子であった。何かに怯えているのか小さな物音にも過敏に反応、また近づく者全てに剣を向け、これにより付近住民数人が大小のケガを負った模様。目撃者の証言によると、虚空に突然現れたというのだが……レイクルムにおいては魔法も存在するため気にも留められなかった。

結局、通りすがりの実力派戦士に当て身をくらわされて気絶し、最寄りの村に保護された。
どうも言葉が通じないだけでなく、身振りで示すところによると記憶喪失らしい。

とりあえず、身についた戦闘技能を生かせる職業…傭兵に就くため、回復したら意思疎通の訓練から始める予定。


遊戯に耽る者

かつて、より科学の発達した並行世界に存在せし者。

優れた師匠の元で技を磨いた天才で、若くして世界最強と呼ばれた彼は退屈していた。すでに彼と対等に戦える者はなく、有り余る財力でなんでも願いはかなってしまう。理論上実現可能だが、その強力に過ぎる力ゆえ禁忌とされた生体兵器「Third Eye」製造に資金提供してしまったのは、そうした退屈から魔が差したとしかいいようがない。

「Third Eye」には第三の眼…並行世界の過去・現在・未来の全てを見通す機能に加え、隠された兵器としての力があった。もちろん星鈴は隠されたうちの一つも知っていたが、彼には「見る」機能だけで十分だったのだ…退屈が紛れれば良かったのだから(隠されたもう一つは…「不老」)。
「Third Eye」完成後、しばらく遊んでいた星鈴は保安部に察知されたことを知らされるも対策を練る間もなく突入され、追い詰められてしまう。いかに単体で最強とはいえ相手は複数…結果は分かり切っていた。捕まれば恐らく死刑、良くても一生監獄から出られないだろう……ならば、隠された力を使うしかない…時空への干渉である。

過去にも小規模な時間・空間への干渉実験は成功していたが、「Third Eye」…それらを大きく上回るがゆえの禁忌である。ただし禁忌ゆえ実際に製造・実行するのも星鈴が初めてでマニュアルもなく、自身と融合させる生体兵器なれば使い方も感覚で覚えるしかない。危機一髪、何とか力を発動させた星鈴だが、時空間移動の際のショックで記憶を失ってしまった。

レイクルムでの傭兵稼業、戦いの中でかつての記憶を取り戻していく。記憶の完全復活により再び退屈を感じるようになった彼は、今度は時空干渉によるイタズラを始める。ついに使いこなすに至った星鈴は時空間を自由に移動、歴史をいじって遊ぶようになる…力を分け与えた四巫女とともに。

この所業に業を煮やした時の神ライカールトが、対抗できるものを呼び込んだのも知らずに・・・