『異次元の赤蜥神』アリオッチ・デュグ=コーラシアス

異次元の招来者アリオッチは、上位神の奇跡が地上において行使されているレイクルムに興味を持ち、現在もこの世界に滞在している。しかし、レイクルムにおいて其の存在は奇妙な影響を及ぼすらしく、近くを通りかかるだけで、治癒魔術が若返りをもたらし死んだと思った瞬間性別が逆に成って生きていたり、余りの規模で有名な辺境の国民が祭の一夜にして竜の身体に成った事もある。

これらは特に害は無いのだが、熱意ある信仰家にとっては自身の祈願が何時の間にか通りかかったアリオッチの所為で怪異となった日には目も当てれない狂態をさらし恥辱の余り海外に逃亡してしまう程の悩みの種。

ある意味で酷い状態になった為に有名になってしまった被害者もおり、死の魔術を決め冒険者達が覚悟した瞬間に自身が巨大ウサギになり大爆笑(特に彼の味方側)されブチ切れた高位暗黒司祭や、大海賊が酒場で遊んでいる中どこから飛んできたフライパンに撲殺されるなど(後にオコジョになっているのを発見される)

一部冤罪の疑惑があるためなのか、賢者連からは奇跡が古代末期に先祖帰りするパルプンテ理論等の公式発表が成されアリオッチとの関係性を否定している。

しかし、事実本気でアリオッチ討伐隊が善悪を超えて組まれているため(見た目が動物のため傍から見ると微笑ましい)、彼の奇跡を愉しんでいる者からは願わくば彼が虐殺されない事をと陰ながらお祈りされている。

現在の所彼の者の具体的な姿形や所在を知っている唯一人のトレジャーハンターからは、ハンター協会に人前にあれだけ出張っているが誰も気付いていないだけだと云う記録を出しているが本当であるかは謎である。


魔界宝珠伝承典

歪空間結界に竜王達の稲妻が閃く大戦最中の北エルメキア首都外れ。
魔術師の塔頂上階にて禁忌の召喚は幾度目かの頂点を迎え様としていた。

異次元の裂け目よりカメレオンの姿が垣間見え幽かに現れ始める。
アリオッチよアリオッチよ!召喚師達は契約に呪縛すべく思考に交感し囁きかけ…
不意に真紅の瞳が妖しく閃き現出が止む何時も前から此方の意識を感知していたのだ!

失敗を感じ対策を取る間も無く使役のため異界の思考波と交戦していた。
召喚師全てが屈服発狂、さらに現在の世界に関する記憶を剥奪され意識を失う。

魔術陣より出でアリオッチは、掛けられた契約が魔界を侵略し敵の攻撃を終結させる其の達成の一部のみで、この行為に対する制限は無くなっている事を感じ取った。アリオッチはレイクルムに招来するためにわざと呪縛の一部を撥ね退けなかったのだ

世界との同調と召喚師の記憶から、魔界侵略の計画を整え、速やかに魔術師の塔より『ウェンダリスの瓶』『クフィールの鏡』『女神の心臓』等を強奪。異次元の上位魔神「タナルリ」「バアテヅゥ」「ユゴトゥク」を思考から転写。無限に分裂増殖させ侵入を開始する。
突然の襲来に魔界側は対応しきれず、人間界と魔界間の遮断結界は容易く突破されてしまう。
この事態の収拾に先じたのは若きロングホーンと仲間の冒険者達であった。
各地より英雄を集わせその戦陣の指揮を取り異形の魔神の力に巧みに対処。 多くの犠牲を出すも分裂の本体を破壊し進撃を停止させた。

しかし彼が無限に分裂する魔神達に苦戦する中、アリオッチの懐柔した精霊達は『炎』と『光』のオーブから魔界に太陽を創成。さらに大地を砂漠となし、闇と冷湿に慣れ親しんだ妖魔属を排除し制圧を完成させてしまう。アリオッチはこれによって呪縛が消えさったため、魔界の炎の眷属に領土を渡した後何処かへと旅立っていった。 かくして当面の危機は呆気なく去ったのである。
この後、サーディオス暗黒神はロングホーンの武勲を認めサーレインス魔界領の領主を命じ、貴族階級の権限を叙す。 秩序の守り手となったロングホーン卿は盟約に従い、領土を追われた妖魔達のためにも熱砂漠の領域縮小、秩序を正すべく進攻しているが、太陽に護られた熱砂漠地帯は増大の一途を辿り、現在復興の目処はたっていない。

尚、熱砂漠地帯においてアリオッチは太陽を齎せし異次元の赤蜥神と呼ばれ崇拝の対象になっている

  ―『異次元の侵食者』断片『在らざる黒山羊の宴』より